【広島 vs 仙台】 ウォーミングアップコラム:広島の6番は強い気持ちの象徴。青山敏弘、戦いへのメッセージ。

2017年4月21日(金)



DFにとって、GKにとって、どんなプレーが怖いのか。もちろん、人によって、組織にとって様々だ。だが、論を待たないのは、どういう形であれ、ゴールに向かうプレーが最も怖い、ということだ。もちろん、サイドからの攻撃も重要であるが、ゴールにまっすぐ向かう中央を崩せればそれが一番早いし、相手も脅かせる。

もちろん、守備側もそこはわかっているから、中を固める。そこをあえて地上戦で攻め込み、コンビネーションで相手を揺さぶってわずかなスペースをつくり、そこから打開する。広島の基本線はそこになるが、それは阿吽の呼吸を誇った2013年の後半から、既に厳しくなっていた。だからこそ、どうしてもサイドの突破をベースに崩そうとするのだが、2015年のドウグラスのようにヘディングに強い選手はいない。ピンポイントのクロスがあがるか、DFとGKの間に流し込むか、そういう形にならなければゴールにならない。

その現実をどう解決するか。青山敏弘は、一つの方向性を示す。

トレーニングでの紅白戦、青山はボールを持つやいなや、裏へのスペースにピンポイントでボールを供給する。ミドルレンジ、ロングレンジのパス精度にかけてはリーグ屈指であり、そこまで見える視野も青山しか持ち得ないもの。だが、その武器がここまで発揮できていたとは言えなかった。

その要因は、1トップ2シャドーがまだまだ「広島」をわかっていないということにある。正確にいえば、広島における1トップ2シャドーの振る舞い方だ。

もちろん、縦パスを受けてショートパスでの展開も、広島ならでは。だが、青山がボールを持ったその瞬間、裏へ走り出す。かつて佐藤寿人(名古屋)が何度も素晴らしいゴールを決めた「ホットライン」が、今の広島にはない。中盤がボールを持った時に中央で後ろを向いて足下でボールを受ける。あるいは、近くに寄ってショートパスを求める。そういう形が多く見えて、フリーランニングで裏をとる動きがほとんどない。「そこが問題だ」と青山は指摘する。

「まずは工藤(壮人)がゴールに向かって動き出す。それができれば、バイタルエリアもあくんです。シャドーにしても同じこと。それが難しいのであれば、ワイドが裏をとって(斜めに走って)中をとればいい」

青山は工藤や柏好文、さらに高橋壮也とも話をすることで、「裏」や「ゴールに直線的に動く」ことを強く求めた。一発で裏をとってGKと1対1になり、そこを制することができれば、これほど簡単なことはない。それができなかったとしても、DFが裏のスペースを意識するようになれば、必然的にバイタルエリアでスペースができる。コンビネーションも使いやすくなる。アンデルソン ロペスや柴﨑晃誠、そして青山自身もミドルレンジからのシュートをもっているわけで、そのセカンドボールを制すれば波状攻撃も仕掛けられる。それができれば、得点機も必然的に増幅するはずだ。

明日の広島対仙台戦は、広島にとって特別な試合となる。創設25周年と銘打ち、久保竜彦や桑原裕義、森崎浩司や中島浩司、石川大徳らOBも集結。トークショーなども行われ、広島の歴史を振り返るイベントもある。その中でも「目玉」は、フランス・ワールドカップ準優勝メンバーであり、「ブラジルではみんなが知っている」(アンデルソン・ロペス)というスーパースター=セザール サンパイオだ。2003年、多くのオファーの中であえてJ2の広島を選択し、そのプレーと強烈なリーダーシップでJ1復帰に導いてくれた、広島にとっての恩人である。

青山敏弘はルーキーイヤーの2004年、サンパイオと共にプレーした経験を持つ。

「僕はまだまだ若かったし、サンパイオさんは雲の上の人。話しかけることもできなかったけれど、僕には憧れでした」

その時、青山は30番をつけ、サンパイオは6番。その6番を3年後、自分自身が身につけるとは、誰も想像できなかった。

「(サンパイオさんに)認めてもらえるようなプレーを見せて、何よりも勝ちたい」

主将・青山敏弘の強い気持ちは、どんな時も諦めなかったセザール サンパイオを彷彿とさせる。考えてみれば、1994年の優勝に大きく貢献したイワン ハシェックもまた、6番。紫の6番がチームを支える姿は、広島の伝統である。

 
文:中野和也(広島担当)


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