【名古屋 vs 町田】 ウォーミングアップコラム:ロビン シモビッチ。名古屋で一番“上手い”選手の動きから目を離すな。

2017年5月16日(火)


今季の名古屋で一番技術のある選手は誰か。玉田圭司か、田口泰士か、はたまたドリブラーの杉本竜士や青木亮太か。その答えは人それぞれだろう。しかし、関係者の話では風間八宏監督はこうも言っているらしいのだ。「一番技術がある選手は、シモビッチだよ」と。彼のことをあまり知らない人々は口を揃えてこう言う。「199cmの長身選手だけど、足下も上手い」。しかし、風間監督の評価が冗談やリップサービスでないことは、名古屋の試合を見続けている人ならばわかるはずだ。

シモビッチは上手い。今季のパフォーマンスはそれを証明するだけの充実ぶりを見せている。昨季は初めての日本でのシーズンでいろいろと様子見をしてしまったところがあったといい、スウェーデン時代にはチームとして課されていたジムでのフィジカルトレーニングを「日本ではこんなものなのかな」と省いてしまったことで、コンディショニングに苦労した。その反省を活かし、プレシーズンには母国でパーソナルトレーナーを雇って主に足腰の強化を重ね、シーズンに入ってからもそのワークアウトを継続。沖縄キャンプでは練習前後のどちらか、あるいは両方で練習場内のジムでの下半身強化を欠かさず行なう彼の姿を見ていたが、その努力の成果はフィジカルコンディションのみならず、全体的なパフォーマンス上昇に一役も二役も買ったことは見ての通りだ。

だからこそ、惨敗だった前節の大分戦で、一矢報いる形で決めたゴールは実に印象的だった。左からのクロスを受けたシモビッチは、反転しながら右足の足裏でボールを引き寄せるように動かし、その反動を活かすようにして左足をコンパクトに振り抜いてサイドネットに突き刺した。マークについていた元同僚の竹内彬がまるで反応できなかった流れるような動きは、およそ199cmの巨漢の身のこなしではない。「グッドシュートだったね」。ニヤリと笑うその表情からは、現在の自分に対する底知れぬ自信が滲み出ていた。

 

風間監督はこのところ、「相手が狭いと思っているところが、オレたちには何にも狭くないという世界を作らないと」と、チームが今後目指すべき“境地”について語り始めている。今の名古屋で、相手が狭いと思う世界で最も狭いと思わずにプレーしている選手は、実のところシモビッチだと思う。大分戦のゴールがその証拠で、13節のDAZNベストゴールの一つにも選ばれたテクニカルな得点を振り返り、彼はこう語っている。「自分の周りに誰もいなかったから、少しエゴを出してシュートに行きました」。「誰もいなかった」とは味方のことだと思うが、もしかすると本当に“誰もいない”と感じていたのかもしれない。

得点だけでなく、正確でスキルフルなポストプレーや守備での運動量でもバイタリティーを見せるシモビッチは、その評価を徐々に確たるものへと変えてきている。町田戦では2試合ぶりのスタメン起用も濃厚で、3試合勝ちなしのチームに前進する力を与えてくれるに違いない。「ゴールの近くであれ遠くであれ、ボールをゴールの近くで持つことが重要だし、クロスを上げる機会があればすぐに上げるべき。そこで逆にターンして他の解決策を見つけるのではなく、よりゴールに直結するような形で攻めていかないといけない」と、チームへの要求も強めてきている。

覚醒した北欧の怪物ストライカーはゴールと、ゴールチャンスに飢えている。シモビッチにパスが入った時は注目である。現在の彼は、そこで何かを起こす力を備えているからだ。

文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J2リーグ 第14節
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