【秋田 vs 長野】 ウォーミングアップコラム:在籍8年目の前山恭平、「秋田のために」勝利を積み重ねる

2017年5月20日(土)



前山恭平(写真)は福岡大を卒業し、プロ入りと同時に秋田(当時はJFL)に加入。生え抜き選手として、チーム最長の在籍8年目のシーズンを送る。秋田は現在6連勝中で首位をキープ。前山自身もこれまで2得点6アシストと結果を出しており、なかでも第7節では先制点を挙げ、第4、6、8節では先制点をアシストするなどチームに勢いをもたらしている。

新指揮官の杉山弘一監督は、J3で4位を達成した昨季のチームをリスペクトした上で、独自のエッセンスを加え「堅守多攻」を実践し、これまで好成績を収めている。前山によると、チームの好調の理由のひとつは、選手の成長にあるという。

「ゲームの運び方がうまくなった。一人ひとりが考えて、よりその場面にあったプレーをできていて…簡単に言うと、前からプレスが来ている状況で、果たして僕たちの技術のなかでつなぐのが正解なのか、裏に走り出してその人にパスを出すのかという場面の選択が去年よりよくなっていて。体の強さや技術の向上もそうなんですけど、選手それぞれのサッカー脳というか、サッカーに対する頭の良さがすごく高くなってきたのかなと思います」

確かに昨季は試合運びが課題のひとつだった。終了間際の失点で勝点を取りこぼすこともあった。「僕は秋田に長くいるので。もちろん去年の間瀬秀一監督もそうですし、その前の与那城ジョージ監督、横山雄次監督、横山博敏監督からの色々な教えがあって、その経験から今の状況があると僕は思っています。選手やスタッフそれぞれに歴史があって、たまたま去年がいいきっかけになって今がある」

前山自身、アシスト数ではキャリアハイを更新中だ。キックの精度が上がったのかと聞くと、実感はないそうだ。「特にうまくなった感じはしないんです。杉山監督はセットプレーの選択肢を与えてくれて、みんなが共通意識をもってやっているなかで、僕も、そこに蹴れば大丈夫という安心感もありながらやっているので。個人的には技術より、攻撃の形が整理されてやりやすくなったのが大きいですね」

杉山監督の指導による好影響は他にもある。「今年は『ボールの中心を捉える』という、本当に基礎的なことから始まって、それもセットプレーに関係するところがあると。トレーニングで無意識にボールを正確に蹴れるようになってきているとは思うんですけど、自分のなかではめちゃくちゃうまくなったっていう感覚はなくて、どうなんですかね(笑)。今まではただ『あそこを狙おう』とボールを蹴っていたので、僕のなかでは大事なことです」と振り返る。第2節、流れのなかで生まれた青島拓馬へのアシストは、杉山監督が練習で落とし込んだものだったという。

今季、前山は折に触れて「秋田のために」という主旨の話をする。その理由について、次のように答えた。「今まではがむしゃらにやって、去年やっと4位になって、結果を出せば色んなことが動くことがわかってきた。今まで動かなかったのは結果が出てなかったからで、結果さえ出せば、もしかしたらスタジアムもできるかもしれない。正直に言うと、これは飛躍してしまうかもしれないんですけど、スタジアムが1個できるだけで秋田県が変わっていくような気がしていますし、この秋田に思い入れがあるからこそ、こういうことを話す必要があるのかなと思っています」

昨季に続いて副キャプテンを努める前山は、多くの選手とコミュニケーションを図っている。前節の試合前には、福島のドリブラー・星広太の特徴をハン・ホガンに伝えた。ハンはそのアドバイスを参考にして星のカットインを防ぎ、前山に礼を言ったという。

首位キープ、連勝、得失点差などポジティブな話題で秋田のサッカーが注目を集めつつある。それと同時に、包囲網も強まるのは間違いない。しかし前山の話を聞いていると、今後の秋田のさらなる成長にも期待が高まる。

文:竹内松裕(秋田担当)


明治安田生命J3リーグ 第9節
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