【名古屋 vs 山形】 ウォーミングアップコラム:新潟へ旅立つ磯村亮太のために。士気高まる名古屋の気迫に注目を。

2017年7月15日(土)



3試合連続スタメンフル出場中の生え抜きが今節を最後に新潟へ旅立つ。何とも驚きの磯村亮太の移籍が発表された名古屋にとっては、何としてでも勝ちたい試合がこの山形戦だ。ただでさえリーグ戦ここ6試合で5敗という惨状ぶりは目に余るが、ここにきて負傷者、離脱者も目立ち始めてチームはスタメンを構成するだけでも一苦労という状態に足を踏み入れつつある。ワシントンは「技術も大事だけど、難しい状況こそ強い気持ちを出すべきだ」と自らの哲学を語ったが、磯村を笑顔で送りだすという明確で強い気持ちを全員が持つことで、この苦境に光が差し込むかもしれない。図らずも磯村の惜別マッチとなってしまった今節は、名古屋の気迫が見られそうな期待感もここにきて高まってきた。

磯村自身も「最後の一秒まで自分の力を捧げたい」と感涙ものの気概を持って試合に臨むが、試合前最後の取材日には言葉少なにクラブハウスを去った。純粋に名古屋グランパスでのひとまずの最後の試合に集中したい気持ちはひしひしと伝わった。彼の姿勢には風間八宏監督も「彼もプロフェッショナルだから、しっかりやってくれると思います」と移籍ギリギリまでその力を買って起用することを示唆。「すごく伸びている。落ち着いてサッカーができるようになった」と評価する主力の移籍は痛恨事だろうが、「それもプロだから」と語り、純粋に目の前の試合に集中している。



燃えているのはチームメイトたちだ。中でも、田口泰士と杉森考起の二人は磯村との関係性も深く、この一戦にかける想いは格別。名古屋U-18の後輩である杉森は「ずっと応援していた憧れの存在です。ちょっとどころではなく、かなり寂しいです」と言い、「僕が試合に出られるなら、勝利に貢献するプレーをしたい」と意気込んだ。ここ2週間はコンディションに少し悩まされたところもあったが、その点にもう問題はなく、水曜日の天皇杯でも途中出場から流れを変える動きで復調をアピール。前線ではシモビッチの状態が不透明な中、永井龍とともに前線の起爆剤として先輩の花道を作ることができるか注目だ。



そしておそらくは、今回の移籍を一番寂しく思っているであろう男が田口である。2009年に高卒で加入した同期というだけでなく、生年月日も血液型も同じというまるで双子のような存在が磯村だった。見た目はまるで正反対だが、勘違いして磯村に田口の、田口に磯村のサインを求めるファンも以前はいたというから相当である。「何かあるんだろうね」と笑い合う姿は、どこか兄弟のようでもあった。ともにプロ入りからの即戦力ではなく、苦労と努力を重ねて主力になった点でも同志としての意識は強く、今回のことを聞くと田口は「え、イソどこか行くんですか?知らなかった…」と、冗談めかして一度はその話題をかわそうとした。そして一拍置いて「寂しいですよ」とポツリ。「いつかは来るものなんでしょうけどね。だから、イソのためにも全力でやる」と力を込めた。21節の湘南戦ではすさまじいテンポでボールをさばき、今季最高の攻撃を指揮した時間帯があったが、その再現を今節でも見せてくれるのではないかと期待している。

もちろん、磯村だけが特別ではないが、選手会長も務めた彼のためにと気持ちを高める選手は多い。磯村もまた勝利を置き土産に旅立ちたいと思っているはずだ。背番号13を中心に高揚するチームの士気が、連敗を止める大きなうねりとなる。そして瑞穂が笑顔に包まれる結末となることを、強く願っている。



文:今井雄一朗(名古屋担当)


明治安田生命J2リーグ 第23節
7月16日(日)18:00KO パロ瑞穂
名古屋グランパス vs モンテディオ山形