【千葉 vs 山口】 ウォーミングアップコラム:勝利とパフォーマンスでサポーターのための楽しい雰囲気作りを目指すキム ボムヨン

2017年8月10日(木)


8月3日の練習後、筆者がキム ボムヨン(写真)の27歳の誕生日当日だった第25節・愛媛戦の振り返りと第26節・徳島戦に向けての取材をしていた時のことだ。0-1で敗れた愛媛戦について話をしている中で、キム ボムヨンがこんな話をしていた。

「もちろん僕だけじゃなくて、みんなも悔しさはもちろんあった。まあ、その日は俺の誕生日だから、(自分は)悔しさをもっと強く感じたのかもしれないですけど(笑)。それもあるし、愛媛までサポーターがけっこう多く来てくれていた。せっかく来てくれたのに、自分たちよりも下位にいるチームに勝てなかったら上位に上がれないし、サポーターの人たちもどんどん来なくなるかもしれない。ホームだけじゃなくてアウェイでも勝って、もっと上位に上がらなければいけない。この暑い時なので、もちろん相手も俺らもきついですよ。そのきつい時にもっと俺らがいい雰囲気を作ってやらなければいけないので、それをみんなで話をしながらやりたい」

内心ではいろいろな思いがあっても、取材中に取材陣がサポーターのことに話を向けていない状況で、自らサポーターについて話す選手はそう多くはない。ましてや「サポーターの人たちもどんどん来なくなるかもしれない」という危機感を自ら口にする選手は皆無に近い。8月6日は取材時間の関係でその点を深く聞くことはできなかったが、1-0で勝った徳島戦を経ての8月9日の練習後、改めて危機感の根底にあるものを聞いた。

「それは見た目でもわかるので。これまで俺がいたチームでも、勝てていない時はホームゲームでも、天気はメッチャいいのに全然お客さんが来ていないんですよ。それはやっぱり『このチームを応援しても、みんな頑張っていないし、勝てないから応援に行かない。意味がない』っていうふうになっちゃうかもしれないからだと思うんです。例えば、山形ではJ1昇格になるかもしれないというその2ヶ月前くらいからお客さんが1万人くらいずっと入ったりしていた。それでJ1に昇格したのに、逆にお客さんが全然来ていないんですよ。勝てないから。だから、もっと楽しい試合を見せなければいけないし、勝ってみんなでそういう楽しい雰囲気を作らなかったら、絶対お客さんは来ないと思います」

実は、愛媛戦の前の試合(ホームゲームの第24節・金沢戦)の試合後、町田也真人がマイクパフォーマンスで「遠いアウェイですけど、応援に来てほしい」という話をしていた。
「遠いところまで来てもらったのに勝てなかったし、その試合は僕が出ていたんですけど、ちょっとつまらないなと思った試合だったので。そういうことをもっと選手たちが自覚してやらなければいけないと思います」

今季、シーズンスタート後に清水から期限付き移籍で加入したキム ボムヨンは、当初は左ウイングバックや左サイドバックでの起用が考えられていた。だが、『ハイライン&ハイプレス』というチーム戦術で戦う中で、左サイドは成長著しい乾貴哉が出場機会をつかみ、キム ボムヨンは広島で経験済みの3バックのセンターバックから始まって、現在は4バックのセンターバックという未経験のポジションでプレーしている。広島ならではの特殊なパスサッカーの中でセンターバックでも単純にクリアしないプレーが「自分に合っている」と感じた彼だが、現在の千葉ではパスとクリアの判断が違う。練習からフアン エスナイデル監督から厳しく指導されることが多いが、それも「本当に直したいと思って強く言ってくれているから、僕としては嬉しい」とポジティブに捉えて取り組んでいる。そして、その思いの背後には自分のスタメン出場によって出場できないセンターバックの選手への責任感、そして山形在籍時のチームメイトであり、千葉でもチームメイトになっていた讃岐への期限付き移籍が発表されたイ ジュヨンへの思いがある。

「ジュヨンの移籍は本当に悲しいし、寂しい。俺がセンターバックになったからジュヨンが移籍したのかなとちょっと思う気持ちもあるんですよ。僕がセンターバックで試合に出始めて、今、他のセンターバックの選手が試合に出られない時もある。そのぶんまで俺がやらなければいけないという責任感を持ってやらなければいけない」
責任感を持ったプレーで目指すのはもちろん無失点であり、チームの勝利だ。ホームゲームで勝ったあとに選手がラインダンスを行なう際、キム ボムヨンは列から離れて前へ出て自分なりのダンスで盛り上げているが、実はそういったことは得意ではないという。

「でも、そういうのを見たいと思って来てくれる人もいるかもしれないし、そういう人の一人ひとりが来てくれたらたくさんの人が来てくれることになる。来ていない人もそういう話を聞いたら『ちょっと行ってみたい』っていうことになるかもしれない。試合の日には勝ったら何をやろうとものすごく考えるんですけど、シンプルにまずは試合に集中して、そのあとに(パフォーマンスを)考えたほうがいいかな」

キム ボムヨンは試合に勝つための雰囲気作りとプレー、そしてサポーターが楽しいと思うための雰囲気作りとパフォーマンスで奮闘しながら、今節でも無失点勝利を目指す。

文:赤沼圭子(千葉担当)


明治安田生命J2リーグ 第27節
8月11日(金)18:00KO フクアリ
ジェフユナイテッド千葉 vs レノファ山口FC