【横浜FC vs 金沢】 ウォーミングアップコラム:ユースから昇格2年目の齋藤功佑。雌伏の時を経て飛躍の秋へ——

2017年9月8日(金)


9月に入り、主力選手に夏の疲れから怪我人が増えたり、累積警告による出場停止もあって、どのチームも常にベストメンバーを組むのが難しい状況だ。横浜FCも前節の湘南戦はジョン チュングンが出場停止だったし、さらに今節は、湘南戦で負傷した野村直輝不在で戦わなければならない。

一方でこの時期は、雌伏の時を過ごしてきた若手選手にとってチャンスでもある。横浜FCの齋藤功佑(写真)も、この秋に飛躍を図る一人だ。

横浜FCユースから昨季トップチームに昇格。167cm/55kgの体はいかにも華奢で、「イニエスタのように前線でボールを受けて、はたいて、ゴールに絡んでいく」という得意なプレーを出すには、まずは体作りから始めなければならず、昨季の公式戦出場はゼロに終わった。しかし、日々のトレーニングをこなしながらしっかり食べ続けたことと、地道な筋トレのおかげで、相変わらず体の線は細いながら力強さが加わった今季、第13節で初めてリーグ戦のベンチ入り。天皇杯2回戦の金沢戦で公式戦初出場、そして第22節のアウェイ松本戦でリーグ戦初出場を果たすと、ここまで第29節を除いてコンスタントにベンチ入りし、すべて途中出場ながら5試合、75分間と出場時間を伸ばしてきている。

成長をうかがわせたのは前節の湘南戦、0−2と2点を追う状況で齋藤は63分にピッチに立った。空中戦で圧倒的な強さを誇る大久保哲哉もベンチに控える中、彼を投入した意図を、中田仁司監督はこう説明する。「ジャンボ(大久保)を入れると、こっちはクロスの放り込みになるし、相手は『跳ね返すだけでいい』と楽になる。それよりも“ワケの分からないヤツ”を入れてポゼッションを高めた方が相手も嫌だろうと。功佑のことなんて向こうはよく知らないんだから(笑)」。無名さを逆手に取っての投入だったが、その中で齋藤は「ミスもしでかしてくれたけど(笑)、期待通り」(中田監督)の活躍を見せた。多少、当初の思惑と違ったのは、リスクをかけて点を取りに行くために、ボランチの佐藤謙介が前線に上がりっぱなしでプレーし続けたことだが、そのチームの空気を察知した齋藤は中盤に降りてバランスを取り、守備陣と前線をつなぐリンクマンとしての役割をこなした。結果、横浜FCはレアンドロ ドミンゲスの2ゴールで追いつき、首位からアウェイで勝点1をもぎ取った。

ただ、試合後の齋藤は、前線で攻撃に絡めなかったことから、「全然ダメでした」と自嘲するばかりだった。それでも、実際に彼が変えたわけではないにしても、彼の投入から試合の流れが変わったのは事実。そう伝えると、「上手い言い方をすれば、そうですね(笑)」と、少し顔をほころばせた。

もちろん、もっと力を付けなければいけない。もっと体も大きくしなければいけないし、技術、動きの質、判断力も上げなければいけない。そしてメンタルも強く。前線に上がりっぱなしの佐藤に対して、「あんたはボランチだから下がってろ。攻撃の仕事は俺がやる」と一喝できるまでになればすごいが、それは年齢的にも難しいので、せめて佐藤のほうに「俺が上がらなくても功佑に任せよう」と思わせるようにはなってもらいたい。

金沢は齋藤がプロとして初めて公式戦出場を果たした相手。65分に投入されたが0−2で良いところなく敗れ、リーグ戦でもアウェイで2−3の逆転負けを喫するところをベンチから見ていた。今節の金沢戦、彼の出番があるとは限らないし、必ずメンバーに入るとも言い切れない。実際、7日の練習では彼を含め若手選手を集め、中田監督が厳しく説教する場面もあった。「まだまだ、成長してるとも言えないよ。でも、期待がゼロだったら使わないし、ちゃんとやってなければメンバーにも入らないのは事実だからね」と、指揮官は厳しい姿勢は崩さないが、同時に期待もかけている。

今季2度の悔しさを味わった相手に、少ない時間のチャンスをモノにし、飛躍の秋につなげることができるか。ユース昇格2年目、齋藤功佑の挑戦は続く。

文:芥川和久(横浜FC担当)


明治安田生命J2リーグ 第32節
9月9日(土)18:00KO ニッパツ
横浜FC vs ツエーゲン金沢