【水戸 vs 岐阜】 ウォーミングアップコラム:キャプテンのために、キャプテンとともに

2017年9月8日(金)


「みんな、ショックを受けましたよ」

細川淳矢(写真)は苦々しい表情でそう振り返った。

第30節福岡戦でキャプテンの船谷圭祐が負傷。診断の結果、右ひざの前十字じん帯を損傷していることが判明した。全治は8カ月。今季絶望の大けがとなってしまった。

今シーズンは昨シーズンに比べて出場回数は減っていたものの、第28節に先発出場、第29節に交代出場を果たし、出場機会を得始めていた。シーズン終盤に向けて、「調子を上げていた」(西ヶ谷隆之監督)だけに船谷の離脱は痛いと言わざるを得ない。

また、船谷はこのチームにとって、「一選手」以上の価値を示してきた。13年途中から水戸に加入し、主力として活躍し続け、さらに一昨年からキャプテンに就任し、精神的にもチームを引っ張ってきた。決して先頭に立ち、大声を張り上げて鼓舞するリーダーシップを発するタイプの選手ではない。しかし、いつも笑みを絶やさず、チーム全体を冷静に見つめる彼はチームメイトから厚い信頼を得てきた。

一昨年末には主力選手が大量に移籍していった中でも船谷は「水戸のために戦う」という決意のもと、チームに残ることを決断。キャプテンとしてチームを引っ張った。大幅にメンバーが入れ替わったこともあって、昨季前は低迷を危惧されたものの、J2が22チームになってから過去最高タイの13位を記録。キャプテンを中心にチームが一つになって戦ったからこその結果であった。

そして、今季も3季連続でキャプテンに就任。だが、リーグ序盤から先発から外れる試合が続き、出場機会が減ることとなった。しかし、「なかなか試合に出られない中でもキャプテンとしてひたむきにやってくれていた」と細川が振り返るように、不満の色などを見せずに練習に打ち込み、いつも明るい表情でチームメイトと接してチームを盛り上げてきた。その姿を誰もが見てきただけに船谷の負傷に対し、チーム全体が大きなショックを受けた。

福岡戦後、西ヶ谷監督は選手たちにこう訴えかけた。「フナ(船谷)の分まで頑張ろう」。その言葉に対して、選手たちは静かにうなずいた。そして、細川は「フナに『なんでこんな試合をしてるんだ?』と思わせないようにしないといけない」と自らに言い聞かせるように口にした。

試合には出られない。しかし、最後までキャプテンとともに戦う。そして、キャプテンとともに笑う。その決意とともに、残り11試合戦い抜く。

文:佐藤拓也(水戸担当)


明治安田生命J2リーグ 第32節
9月9日(土)18:00KO Ksスタ
水戸ホーリーホック vs FC岐阜