【岡山 vs 町田】 ウォーミングアップコラム:「ややこしい夏休み」を終えた加地亮。

2017年9月9日(土)


7月1日に行われたホーム・水戸戦。この試合で、加地亮選手(写真)は、肋骨を骨折する怪我を負った。「前半の20分台だったかな。痛いなとは思ってましたが、アドレナリンでプレー出来ちゃうんでしょうね」と加地選手。というのも、水戸戦では試合終了までプレーし、その後のミックスゾーンを通って、待ちかねるファンに挨拶もしていた。「でも次の日になったら歩くにもズキズキする。それで試合の2日後、病院にMRIを撮りに行って、骨折がわかったんです」。

昨年9月の終わりにも肋骨を骨折したが、この時は立ち上がることが出来ず、リヤカーに乗せられて運ばれた。同じ右側の肋骨だったが、「あの時は無理でした。練習のアドレナリンとは違うんでしょうね」と話す。

息子からは、「また折ったん」と言われ、回復期間と小学生の子どもたち3人の夏休み期間が重なったため、午前中はクラブハウスに来て、午後は子どもたちの勉強を見ていたそうだ。また、この期間を利用して、右足関節部ガングリオン切除手術も受けており、右側の肋骨をかばい、同時に右足の手術跡が化膿しないように気をつけながら、今年の暑い岡山の夏を乗りきった。

「でも(子どもたちは)俺に教えられるのがめっちゃ嫌なんです。とことん教えないと気が済まないタイプだから、『ここ読め!』っていう具合でやってると、すぐ『ママ、ママ、お父さん何もしてないやん』って言いつけに行く。おとんが、こんなに家におったら逆にうっとおしいですよ」。本人いわく、「ややこしい夏休み。今までで一番勉強した夏休み」だった。

全体トレーニングに合流して約2週間が経つ。「最近はいつも遅くまでランニングしています」と、広報担当が教えてくれた。身体が動かせず、もどかしい思いをしたが、自分の身体を知り尽くしたプロフェッショナルが、再始動の秒読み段階に入っている。

2カ月強の休養を経て、再びピッチに立てるよろこび、サッカーが出来るよろこびは、淡々と語られる言葉からさえもあふれ出る。「どういう状況にあっても変わらない『拠りどころ』だったらいいなと思います。そこだけ空気感が違う、というような。ボールを前に進めながら、厳しい戦いだけど周囲の状況を楽しんで、サッカーって楽しい!という思いをチームメイトとも、観ている人とも分かち合いたい」。

先月、ホーム戦の際に熱心な岡山サポーターから、「加地さんはあと6試合で500試合出場になるんですよ」と教えられた。これを聞いた、同じく熱心なサポーターは、「もう仙人じゃな」とつぶやいた。サッカー選手として鍛錬し、修行を積んできた加地選手は、いつでも機嫌よくフランクに、対面する人を大切にする性質でもある。そういったところも含めて、人間界の煩悩を越えた仙人めいた人だ。500試合を越えても、淡々と道をきわめていくだろう。

文:尾原千明(岡山担当)


明治安田生命J2リーグ 第32節
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