【秋田 vs F東23】 ウォーミングアップコラム:「予測する力」を磨く山田樹、相手との駆け引きで存在感を放つ

2017年10月6日(金)


鹿児島とのアウェイゲーム。スコアレスで折り返した後半開始早々の47分、秋田にビッグチャンスが訪れた。右サイドの古田寛幸のクロスが、1トップの堺俊暉の頭上を越して鹿児島ゴール左に流れる。そこに飛び込んだのが山田樹(写真)だった。しかし山田が左足で合わせたシュートは枠外となった。

その直後の49分、再び山田にゴールチャンスが訪れる。秋田のロングボールを鹿児島DFがはね返すと、ハン ホガンがそのセカンドボールを奪い、再び攻撃に繋げる。ホガンからのパスを受けた藤山智史が顔を上げるのとほぼ同時に、山田は鹿児島ゴールに向けて走り出す。

「相手の注意力が途切れた瞬間を常に狙っているので、うまく相手より先に、いいところに動き出すのがひとつの武器だと思っています」

山田は走り出した時点で対面するDFのタイミングを外しており、フリーの状態でPA内侵入してGKと1対1になろうとする。その山田に、藤山から柔らかく、かつ正確なロングパスが来る。山田はボールを見定めて、ダイレクトできっちり流し込んだ。

「後半開始早々のビッグチャンスで決め切れなくて『決められなかったな』という思いがありました。(第22節の)盛岡戦でも同じようなシーンでポストに当てて外していたので。その直後にああいういいボールが来て『絶対決めなきゃだめだな』と思った一方で、あの瞬間だけ『ボールをしっかり当てて枠の中に入れることを意識しよう』と、意外に冷静になれていました」

そう振り返る山田だが、チャンスを決め切れなかったことを今後の課題として、突き詰めようとする。「1試合に1、2回来るかどうかわからないシュートチャンスなので、そこをしっかり決め切らないと。鹿児島戦でも後半1回目のチャンスを決めて、2回目も決めていれば2-0で勝ってもおかしくないゲームだと思っています」

今季がすでに始まっていた4月14日、クラブが山田の獲得をリリースした。立命館大学卒業後にアルビレックス新潟シンガポールに加入し、ラオ・トヨタFC(ラオス)、カスタムズ・ユナイテッドFC(タイ)と、約4年半の海外生活を経ての秋田移籍だった。杉山弘一監督による3-4-2-1のフォーメーションのなかで、主に左WBを担当。鹿児島戦を終えて、チーム5位の4点を挙げている。

「4年半くらい東南アジアでプレーして色々なポジションを経験しましたけど、僕はめちゃくちゃ足も速くないですし、身体的に強くもないですし、ドリブルで相手を抜き去っていける選手でもないので。そのなかでどうやったら生き残っていけるか、どうやったら評価されるかを考えたときに、やっぱり得点やアシストで貢献することを頭のなかに入れてやってきました」

自身の特長を踏まえて山田が磨いたのは、予測とポジショニングだという。「得点を決められる場所に回数を重ねて入っていくとか、こぼれてきそうなところを予測してポジションを取ることは磨いてきました。その結果、J3の舞台でも4点を取れたのは評価していいと思います」

第11節の栃木戦(1○0)で山田が挙げた決勝点でも、その予測力が見られた。古田のクロスに、田中智大が相手DFと競り合う。こぼれてきたセカンドボールを、山田が狙いすましてダイレクトで蹴り込んだ場面。「クロスに対してそのままゴールに向かっていったら、こぼれ球に反応できなかったと思います。ボールの状態とか、味方が競りそうだという状況をしっかり観察しながら、あそこにボールがこぼれてくるだろうなと予測して、直前で少しポジションを変更して構えていました。シュートコースもイメージ通りでした」

盛岡戦のヘディングシュートを除けば、今季4点のうち3点はダイレクトで打ったシュートだった。このことも、山田のポジショニングの良さとキックの精度を物語っている。

秋田は8月17日、乾達朗の加入を発表した。自身と同じように東南アジアで活躍した実績をもつ乾が加わり、山田は「向こう」でプレーしてきた経験を秋田で発揮して、さらに成長しようとする。

「シーズン途中の加入で、周りからの期待もある。東南アジアは日本より下のイメージだと皆さん思っているだろうし、そういうところでプレーしていた選手がどれくらいできるのか、という目で見られると思います。僕らが帰ってきてここで活躍できなかったら、東南アジアでプレーしている選手が日本に帰ってもプレーできないんだなという印象を持たれる。それは僕自身が困りますし、いま東南アジアで頑張っている選手もたくさんいるので、そういう人たちも注目してもらえるくらい、僕たちが活躍する。そうすることで、東南アジアからJリーグ、あるいはJリーグから東南アジアに行き来するような関係がうまくできればと思います」

山田が挙げた4点は、すべてアウェイゲームでのもの。「ホームで決めて、サポーターみんなの前で喜ぶ姿を見てもらいたいですね」

今節、ホームでのFC東京U-23戦で、山田のゴールを祝福したい。

文:竹内松裕(秋田担当)


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