【F東23 vs C大23】 ウォーミングアップコラム:生涯最高のライバル対決再び 石川直宏と茂庭照幸が最後の真剣勝負

2017年12月2日(土)


味スタで、5度宙を舞った――。今季限りで現役を引退するMF石川直宏(写真左)は、16年を過ごした本拠地ラストマッチを終え、ようやく今頃、家族だんらんを過ごしているころだろう。だが、チルアウトしたはずのスピードスターに、沸々と、ある感情が湧き上がる。

「まだ終わりじゃない」

約束の場所で待つ親友・茂庭照幸(写真右)との最後の真剣勝負が翌日に控えているからだ。FC東京U-23は、駒沢陸上競技場でC大阪U-23と対戦する。そこに2人は、オーバーエイジ枠で出場するというのだ。

ナオには、小学生時代から最高のライバルがいた。いつだったか、「これ誰だか分かる」と言って見せてくれた写真があった。そこにいたのは、サラサラヘアのサッカー少年と、スポーツ刈りで一回り大きな体をした、背番号9のDF。どちらの顔にも面影があり、すぐにナオと、モニだと分かって「全然変わってないね」と言った覚えがある。12歳のその日の記憶は、今も2人の中に残っている。天才少年で鳴らした横須賀シーガルスの背番号3は、CBにコンバートされたばかりのゴールプランターズの元FWのしつこいマークにあった。

モニは以前、ナオの小学生時代をこう語っていた。

「ナオが小6の時は、神奈川でサッカーをやっているやつで知らないやつはいないような選手だった。全国でも有名でしたからね。俺が165センチぐらいで、あいつは150センチぐらいしかなかったかな。とにかく小さかった。俺が初めてDFにコンバートされてすぐだったけど、やばかった。何でもできちゃう。3人ぐらいでマークしないといけなかった。ドリブルも、プロのプレーでしか見たことのないようなプレーだった」(茂庭)

その2人は、2002年からFC東京でチームメートとなった。お互い、「最初は一緒にプレーすることに違和感があった」と言う。気づけば、いつも焼き肉を頰張りながら「オレたちがこのチームを強くしていこう」と誓い合っていた。

モニは2009年を最後に、C大阪へと移籍した。その年の12月12日、現役を引退するMF浅利悟や、同じく札幌への移籍が決まっていたDF藤山竜仁らを送り出すイベントの最後に、ナオはモニに花束を渡した。「おい、何でお前が泣くんだよ」。初めは笑顔で近づいたのに、モニの顔を見ると、込み上げるモノを抑えられなかった。

小学生のころからライバルであり、良き友であり続けた。その関係は今も変わらない。ナオにとっては、「日本で一番1対1が強いと思っている」という生涯最高のライバルとの最後の勝負。その会場は、自身が青赤を着て初めて試合をした、駒沢競技場。全ての舞台は整った。

モニも、「試合に出たら絶対に止める。悪いけど、何もやらせないよ」と、手抜きはしないという。

そして、ナオは――。

「あいつの間合いが嫌なんだよね。あいつとやりあいながら感覚を研ぎ澄ませていきたい。5回勝負して4回止められても1回決められればいいでしょ。仕掛けるよ。(前日にJ1で)お前、そんなに長い時間出てんだよって言われそうだけど(苦笑)。きょうはきょうで出し尽くした。でも、もっとプレーしたい、勝ちたかったって欲求が生まれた。明日、試合やりてぇ。モニも気合い入ってると思う。モニだけじゃなく、今まで一緒に戦ってくれた選手たちも駆けつけてくれる。自分のプレーする姿を見せて、何かを感じてほしい。もちろん勝つためにプレーする。未来を背負う若い奴らに刺激を与えたいし、俺はここでスタートしてここで終わるんだって、こういう人生だったとプレーで示して受け 継いでもらいたいですよね、やっぱり」

これまで何度も裏切られてきた、サッカーの神様が自分に最後に与えてくれたご褒美。ナオは、これを楽しみ倒すと決めている。

文:馬場康平(F東23担当)


明治安田生命J3リーグ 第34節
12月3日(日)13:00KO 駒沢
FC東京U−23 vs セレッソ大阪U−23

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