【町田 vs 讃岐】 ウォーミングアップコラム:3連敗から2連勝。チームを再起動させた新人GK福井光輝

2018年5月12日(土)


新人GKが抜擢されたファーストゲームは第12節の東京ヴェルディ戦。チームは3連敗の苦境にあり、3シーズン連続のフルタイム出場を続けていた高原寿康を外す重い決断が下された。FC町田ゼルビアは悪い流れを食い止め、そこから東京ヴェルディに4-1、横浜FCに1-0と連勝している。
 
福井光輝(ふくいこうき・写真)は日本体育大出身の22歳。大学3年で迎えた2016年冬の全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)では準優勝にも貢献した。
 
日体大3年春のリーグ戦で初めて彼のプレーを見たとき、インパクトはかなり大きかった。184センチのサイズで、バネや瞬発力、飛び出しの思い切りが光っていた。加えて声もよく出ていたし、左足のキックは特に出色。湘南工科大学附属高時代は全国大会出場歴こそないが、U-18日本代表候補に招集されており、当時から知る人ぞ知る逸材だったのだろう。
 
彼は町田の練習に参加し、17年の途中からは特別指定選手となった。「プロでやる」という前提で彼を見るようになると、課題も見えてきた。プレーの確実性、安定感は物足りなかったし、実際に大学4年時は日体大であまり出場機会に恵まれていない。
 
しかしGKは試合に出なければ上手くならない。GKは得てして「マイナス要素の少なさ」によって評価されるポジションだが、チームはおそらくある種のカンフル剤として、「プラス」に着目して福井を登用した。その後の連勝を見れば賭けは当たっている。
 
横浜FC戦で彼は2つのビッグセーブを見せた。13分には北爪健吾と1対1のピンチを迎えた。福井は前に踏みこむと両手両足を広げて「面」を作ってコースを消し、足に引っ掛けてシュートを阻止している。福井が「相手のタッチがちょっと大きくなったので、そこで狙ってみようと思って出たらストップできた」と振り返る会心のストップだった。
 
64分にはレアンドロ ドミンゲスの強烈なミドルを左手一本でブロックした。彼らしいダイナミックなセーブで、DAZNの週間ベスト5セーブの3位に選出されている。しかし本人に聞くと不満顔で語り出したからプロの感覚は興味深い。福井はこう振り返る。「風もあったので上へ弾こうとしたんですけど、ちょっと手の芯に当たり過ぎた」。
 
前にこぼしてしまったという彼のミスは、CB藤井航大のカバーリングによって救われた。福井はかくして好調・横浜FCをシャットアウトする立役者になった。
 
他にも強風を意識して低いライナーを蹴ろうとしたら軌道が低くなりすぎるような「失点につながらないミス」はあった。一方でちょっと危なっかしい印象のあった浮き球の処理を、強風の中で確実に遂行していたことは嬉しい発見だった。福井には「強み」「可能性」がある。町田は「コンパクトな守備組織」にこだわるチームだが、福井の瞬発力、思い切った飛び出しはDFラインを助けるだろう。
 
横浜FC戦後、相馬直樹監督は福井についてこう語っていた。
 
「特に前半の抜け出されたシーンを止めてくれたことが大きかった。前半も後半も風下の時間が長く、難しい判断があったと思うけれど、終盤に相手が速い選手を前に置いてきた中で、すごく大きく(スペースを)カバーできたところがあった」
「ミスキックもいくつかあったけれど、風が強く押し込まれている中で、陣地を回復するボールはいくつか入れてくれていた」
「経験が不足しているところ、周りにも助けられながらというところはあると思うけれど、今は思い切りの良さが出ている」
 
高原はプレーの「間違い」が全くと言っていいほどないベテランGKだ。高原と福井にはそれぞれ違う強みがあり、チーム状況が福井を必要とした。これから高原の巻き返しはあるだろうし、22歳の福井にはまだ学ばなければいけないことがある。しかし観戦者として今は福井の起用によって生まれた期待感、前向きなハラハラ感がとても愉快だ。

文:大島和人(町田担当)


明治安田生命J2リーグ 第14節
5月13日(日)16:00KO 町田
FC町田ゼルビア vs カマタマーレ讃岐

町田市立陸上競技場(FC町田ゼルビア)
みんなの総合評価 (3.6)
臨場感 (3.1)
アクセス (2.1)
イベント充実 (3.7)
グルメ (4.0)
アウェイお楽しみ (3.5)

スタジアムナビ