【横浜FC vs 山口】 ウォーミングアップコラム:守備のユーティリティプレーヤー、藤井悠太。プロ入り5年目にして得た「最も生きるポジション」

2018年9月29日(土)


前節のジェフ千葉戦、ボール支配率66.8%を相手に許してほぼ一方的に押し込まれる展開を耐え、ワンチャンスをモノにして勝点3を手にした。DAZN週間ベストプレーヤーに横浜FCからディフェンダーが選ばれるのも自然な流れだったが、藤井悠太(写真)は「僕は何もしてないですよ。チームがゼロで抑えただけで」と当惑顔だった。

昨年、初めてベストプレーヤーに選ばれたときも、彼は「あれ、何なんすか? ありえなくないっすか?」とこちらに食ってかかる勢いだった。今回は今年2度目の選出ということもあるが、「まあ、側から見たら良かったんですかね。ボールにも行けてたし」と余裕も感じられるのは、彼の持ち味が最も生きるポジションで出場できているからだろう。

武南高校時代はFWだった。東洋大学でセンターバックにコンバートされ、大学4年時に大宮の練習に参加した際、当時のベルデニック監督の目に止まった。強化指定選手を経て、2014年に大宮でプロ入り。しかしプロの壁は厚く、試合になかなか出られないどころか、紅白戦や練習試合ではボランチやサイドバックに入ることが多かった。スピードや高さといった身体能力に恵まれ、体も強い。「上手いように使われちゃうんですよ、俺」と本人は自嘲気味に語るが、そのユーティリティ性を買われ横浜FCから声がかかった。

ミロシュ ルス監督が率いた2016年の横浜FCの開幕戦、藤井は右サイドハーフでスタメンを飾った。これには本人も「ワケが分からなかった」と述懐する。ユーティリティ性はあるが、お世辞にも器用な選手ではない。ルス監督から中田仁司監督に交代すると、彼の定位置は右サイドバックになった。中に絞っての守備に安定感はあるが、攻撃での貢献は「求められても難しい」と本人が認める通りだった。それでも今季も右サイドバックとして開幕スタメンを飾ると、第2節の岐阜戦では右サイドを駆け上がって決勝ゴールをアシスト。「クロスからアシストが一つもない」ことをずっと気にしていただけに、ホッとしたような嬉しそうな顔をしていた。

しかし第5節の山形戦後、怪我で長く苦しんだ。その間、幸いだったのはチームが3バックを採用したことだ。本来は「センターバックで勝負したい」彼にとって単純にその枠がシステムの中で一つ増えるとともに、3バックの右は「役割がはっきりしていてやりやすい」ポジションでもある。第23節の新潟戦でスタメン復帰し、完封勝利に貢献。田代真一が加入したことでポジション争いも激しくなったが、夏以降から怪我人が増えている中で、第31節の京都戦から連続でスタメン出場を果たしている。

「人にはやっぱり、得意、不得意があると思うんですよ」と藤井は笑いながら言う。「僕には(北爪)健吾みたいな突破力もないし。4バックでも守りにいくならサイドバックでもいいですけど、あまり攻撃を求められても困っちゃうんで」と。とはいえ今季2アシストしているのだが、「得意、不得意」という自分の言葉を思い返して、彼は力強くこう続けた。
「僕は守備が得意なんで。健吾が前に上がれば、後ろは僕が守るから」
横浜FCに来て3年目、プロ入り5年目にしてようやく得た「自分の持ち味が最も生きるポジション」で、藤井悠太はチームに貢献し続ける。

文:芥川和久(横浜FC担当)


明治安田生命J2リーグ 第35節
9月30日(日)14:00KO ニッパツ
横浜FC vs レノファ山口FC

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