【山口 vs 甲府】 ウォーミングアップコラム:ホーム最終戦。佐藤健太郎が照らす、勝利への道

2018年11月10日(土)


終盤戦に入って再び勝利が積み重なってきた山口。華々しく得点に絡むFWやシュートブロックに入るDFがフォーカスされがちだが、この再前進を目立たぬ仕事で支えているのが佐藤健太郎(写真)だ。直近の数試合はワシントンと三幸秀稔に挟まれたポジションでプレー。シャドウでもなく、アンカーでもない絶妙な立ち位置で山口の重しになっている。

佐藤の周りにいるのは、良い意味で攻撃が好きな選手ばかり。彼らを安心して前線に送り出していくには、スペースを埋めたり、いつでも攻撃の再構築ができるように動いたりと、リスクをマネジメントする役が必要となる。「本当は、もっともっと誰が見てもいいプレーはしたいですが」と頭をかくが、今の攻撃的なサッカーはその役を率先する佐藤なしには語れない。

「ワシ(ワシントン)もミユ(三幸)も前に出たときの推進力がある。そういうときは僕はすっと後ろに入って我慢できればいいのかなと思う」。一歩引いてゲームを見つめ、バランサーに専念。佐藤の後押しを受ける三幸が、アタッキングサードでボールを散らす機会が増えてきた。「健太郎さんに当てて、もう1回もらってペナルティーエリア内に侵入できた」と三幸自身が振り返るなど、チームの前向きなプレーに佐藤の存在が光る。

霜田正浩監督の評価も高く、「練習を見ていても別格。落ち着いていて、サッカーを知っている。行くときと、行かないときが分かっている。34歳になったが頼りになるベテラン」と信頼する。

しかし、若手に比肩する運動量とベテランらしい洞察力を併せ持つ佐藤が今年、試練に遭遇した。3月下旬に左足の半月板を受傷し、長期離脱を余儀なくされたのだ。「いろいろなことを考えさせられた」と顔をしかめる。夏にピッチには戻ってきたものの痛みが残り、「復帰していいのかなというくらい痛かったし、フルでできないのかなという痛みの中でプレーした。ずっとサッカーできるもんじゃないなと認識した」。

この壁に当たった時、佐藤はチームのスタイル同様、後ろを向かなかった。どんなに苦しいときも「この一瞬を大切にしなければいけない」と言い聞かせてサッカーに向き合ってきた。痛みも糧。「だからこそ今の時間を大事にしようと。投げ出さずに辛抱していたら、徐々に痛みも消えていった。しんどいときにいかに我慢してできるか」と奮い立たせ、再びスタメンを掴み取った。

ホーム最終戦の相手は甲府。17年に半年だけ苦楽をともにした上野展裕監督がチームを率いる。「一緒にやった時期は短いが、山口に入るきっかけを作ってくれたのは上野さん。こうやってまたピッチで再戦できるのは嬉しい」と語り、さらにこう言葉を続けた。「ベストを尽くして頑張りたい。このメンバーでのホーム戦は最後。噛みしめながら戦っていく」。

若手がのびのびとプレーするとき、佐藤などベテランが黒子になって光を当てる。山口のJ2昇格3年目のシーズンは、心地よいバランスの中で、最終盤のゲームに入ろうとしている。

文:上田真之介(山口担当)


明治安田生命J2リーグ 第41節
11月11日(日)13:00KO みらスタ
レノファ山口FC vs ヴァンフォーレ甲府
維新みらいふスタジアム(レノファ山口FC)
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