【名古屋 vs 神戸】「1点を先制するだけでいい」。ランゲラックの見せる自信にチームは勝利で応えられるか。

2019年11月8日(金)


残留争いの最中、しかし降格圏にはまだ足を踏み入れていない名古屋にとっては今が真の正念場だ。選手たちは口を揃えて「幸運にも」と今の状況をとらえて前に進む。残留圏のチームを追う立場ではなく、勝点を積み上げればそこから脱していける立ち位置は、確かに幾ばくかのアドバンテージが残っている。「日本には明けない夜はないという言葉がある」と教えられたフィッカデンティ監督は「いや、日本においてはその状況はあるかもしれない。しかし自分たちで夜が明ける状況は作っていきたい」と予断を許さなかったが、今のうちに何とか危険水域から一歩でも遠ざかることが今季の名古屋には必要だ。

こうした現状を最もシンプルに、そしてダイレクトなものとして理解しているのが守護神のランゲラックである。思えば昨季、序盤戦で8連敗を含む15試合未勝利という苦難に見舞われ、終盤戦でも苦戦し、まさに首の皮一枚と言える残留を果たした中で、彼は「どうして勝てないんだ、何が悪いんだ」と夜も眠れない日々を過ごしていた。連敗の最中でもビッグセーブを連発し、彼の活躍がなければさらなる惨敗を喫していた試合も少なくない中で、チームの勝敗にすさまじいストレスとプレッシャーを感じていた男だけに、再び巻き込まれた残留争いに対しても反応は実にストレートだ。 

「自分が思うのは相手がどこであれ、この苦しい状況から抜け出すこと。今はそこに一番フォーカスしている。対戦相手とは“他の選手”というだけで、どんな相手でもやることは同じで、誰がシュートを打つか、誰が守備をするか、こちらのやることは同じ。できるだけ自分も良いプレーをしてチームを助けていきたいし、この状況から抜け出すために毎日いろいろ考えている。家に帰ってからだって考えている。常に考えているのは良いプレーができるようにということ、そしてチームを助けられるようにということ」

もちろんポジティブな面もある。前体制のチームスタイルでは個の能力に任されることの多かった守備が、今は組織的なものに作り替えられた。守備陣、特にGKにとっては守備がシステマチックになるのは歓迎される傾向が強く、それはなぜかといえば守備の負担が減り、ひとつのセーブに対する難易度も必然的に下がるからである。こういう時には誰がどこにいて、どのコースを切っている、こうした約束事があるだけで飛んでくるシュートの質にも制限がかけられ、責任がはっきりする分だけ修正も改善もやりやすくなる。監督交代後の4試合で7失点、前節の札幌戦では3失点を喫した“失策”はあるものの、ランゲラック自身はそれが守備の崩壊を意味するものではないと断言する。勝負は時の運、ゴールについてもそういう側面は確かにある。重要なのはそれで開き直るのではなく、彼らが自信を失っていないということにある。

「新監督になって4試合、勝ちきれていないのは確かだね。我々は2得点をしていますが、失点については二つのPKと三つのセットプレーからのものがあった。これには不運な面もあったとは思う。そこはもちろん直さなければいけないけど、我々としてはそれほど多くのチャンスを作られたとは感じていないんです。相手の攻撃に対しては持ちこたえられているところはある。もちろん簡単なことではないけど、サッカーなので相手が良い状態の時もあるし、こちらにも運が回ってくることもある。我々としては原理原則をしっかり守ること。例えば誰かが出たら誰がカバーする、いつタックルに行くのか、と必要なことを一つひとつやっていかなければね。しっかりディフェンスして、ボールを持たれた時に相手に時間を与えない。その基本をしっかり押さえていけば、相手にチャンスを与えることはないのだから」

納得のいく意見である。PKは当然のごとく、セットプレーもつまるところキッカーの質という部分が結果に対して大きな割合を占めるところがあるものだ。「当然、そういう状況から今後は失点をしないように」とはランゲラック一人の意見ではなく、チーム全体がその部分に焦点を絞って対策もしており、神戸との戦いでも一つ注目すべき点にはなってくる。GKとしては守備に手応えがあり、クリアすべき課題も明確になっている現状では、あとは味方の“援護”を待つばかり。勝つためには、少なくとも試合を優位に運ぶためにはやはり得点が必要で、そこに直接かかわることの少ないポジションからは、自分の仕事の向こうにそれが待っていることを信じるしかない。

「そこは1点を先制するだけでもいい。今はなかなか得点ができていないけど、ここまでやってきた“正しいこと”をやり続けるべきだと思う。そして守備の原理原則をタイトにこなすことができれば、相手にスペースを与えないということができれば、“後ろ”で相手のチャンスが減り、“前”で我々のチャンスが増えると思う」

キーパーは素晴らしい仕事ができるし、決定的な、FWのワンゴール以上の重みのあるプレーができる。そう言ったのは背番号1の前任者、楢﨑正剛さんだった。彼をして「オーソドックスなGK、好きなタイプ」と言わしめるランゲラックもまた、同様の仕事を黙々と、時に味方を鼓舞しながら続けている。札幌戦では2失点目の後、「今後の得失点差のこともある。しっかりプレーを維持していこう」とリーダーシップを発揮もした。「今週は攻撃のヒント、想像する力も養ってきた。次の“コーナー”を曲がりきれればいいね」というセリフは責任感と手応えの表れだ。

耐える覚悟はできている。ランゲラックは今節も、名古屋の戦いを最後尾から支え続ける。

文:今井雄一朗(名古屋担当)


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11月9日(土)14:00KO 豊田ス
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