【名古屋 vs 鹿島】自覚が漂わせる泰然とした空気感。今季の前田直輝はひと味違う

2020年2月15日(土)


名古屋にとっては始動からちょうどほぼ1ヵ月でのシーズン初戦を迎えることになる。相手は既にACLで公式戦を経験済みの鹿島で、キャンプではJ2やJ3のチームとの練習試合しかこなしてこなかったチームにとってはなかなかに未知数で難解な対戦になる。しかし、やるしかない。昨季半ばに就任したマッシモ フィッカデンティ監督は2019年の戦い方を残留優先のものとし、今季については「それとは違う、新しい戦い方をしていこう」と大号令をかけてアグレッシブなスタイル構築に取り組んできた。前線からのプレス、2列目に豊富な個性あるアタッカーたちの活用というのがその看板代わりになる“2020マッシモ名古屋”だが、その要たる男たちは冷静に、そして強く意気込み準備を進めている。

横浜FMからマテウス、鹿島から相馬勇紀が戻ってきたチームだが、やはりサイドアタッカーの一番手は前田直輝をおいてほかにはない。プレシーズンキャンプでは負傷者の影響で1トップを務める時間が長かったが、その問題も解消されつつある現在は本職である2列目でのチャンスメイクとフィニッシュワークに大きな期待がかけられる。選手の誰もが「開幕すればあれほどキツイ練習はもうしないでしょう」(中谷進之介)と振り返るタイ、沖縄での合宿を「そんなに走ってないですよ。キツかったけど、前にいた松本に比べれば…」と先頭で走り切り、昨年は苦しんだこの時点でのコンディショニングにも手応えがある。走れる前田は守備でも有用で、守備の第一目標であるハイプレスの一番槍としてもうってつけの存在だ。

フィッカデンティ監督は今季の名古屋の攻撃の特徴を「速さ」という言葉で表現する。ダイナミックな速攻、パスの連続で守備を崩していくスピード、そして前述の2列目アタッカーたちの表現する見た目通りの速さなど、物理的な速度が武器になるわけだ。前田が担うのは純粋なスピードでもあり、コンビネーションにも対応できる速さである。ドリブル突破でも落ちないスピードは、ドリブラーとしては大柄と言っていいかもしれない177cmというサイズも相まって、より強烈な印象を対戦相手に与える。ボールの上で左足をクルリと回す十八番のフェイントはわかっていても止められない鉄板の切れ味があり、そこから放つミドルシュートも精度は抜群だ。

そして攻撃のキーマンとしてだけでなく、チームが志すハイプレスにしても貢献度を上げたい気持ちは強い。

「しんどいけど、どこまで寄せられるかとか、二度追いがどこまでできるかとか。そこは体力だけでなく、メンタル面が含まれてくると思う。ボールをとられた時に『ああ…』って一歩止まるんじゃなく、そのままの勢いで取り返しにいけるかだし、それを全員で意思統一した上でできるかどうかが一番大事です。僕はけっこう、前にいたチーム(松本)で培われているところがあるので、ボールを取られないことにこしたことはないけど、取られた瞬間に取りに行く姿勢は見せていきたいと思いますね」

2018年夏に加入した前田は今季で3シーズン目となり、9得点を挙げてチームトップスコアラーとなった昨年の成績からも、2020年はチームの顔の一人として見られることが多くなった。年齢的にも中堅に差し掛かり、今季はチーム始動日から先頭に立って走り、トレーニングも率先して一番手を務める姿が目立つ。主力としての自覚は明らかに際立っており、それが良い形でプレーに表現されているのも好印象だ。一昨季の救世主的な活躍から一転、開幕直後は苦しんだ昨季とはそこが大きな違いで、選手としてのステップを一段上がった感が今年の前田直輝からは漂っている。

「まだ今年はJ1との試合をやっていないから正直わからないところはある。でも、やれる自信はありますよ」

指揮官は「最初のステップとして良い一歩目を踏み出したい」と言った。マテウスは「最初のプレーから狙っていく」と貪欲さを隠さなかった。だがシーズン初戦のチームにとって、泰然とした雰囲気をまとうようになった背番号25がいてくれるのは、何より心強いことではないかと思う。

文:今井雄一朗(名古屋担当)


JリーグYBCルヴァンカップ 第1節
2月16日(日)14:00KO パロ瑞穂
名古屋グランパス vs 鹿島アントラーズ
パロマ瑞穂スタジアム(名古屋グランパス)
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