【北九州 vs 群馬】「ちゃんと調べて来てください」。皮肉まじりのジョークに込められた右SB藤原奏哉の自信

2020年10月9日(金)


9連勝で首位に立った時の勢いに陰りが見えている現在の北九州。3位にまで後退した理由は一つではないだろうが、相手の警戒が強まり対策が入念になったことで、アグレッシブな攻守が以前のように実現できていない事が要因の一つであることは確か。そういう苦しい戦いの中で、小林伸二監督は相手の分析が追い付かないような、新たな試みをここ数試合で見せている。勝利という結果にこそ結びついていないが、相手の対応が不十分なところを突いて、以前のようなチャレンジ精神あふれる攻撃と積極的な守備が戻りつつあることは事実だ。

小林監督の新たな試みの一つが昨季からボランチでプレーしてきた藤原奏哉の右サイドバックでの起用。第23節の町田戦で途中出場した藤原は町田戦を前に小林監督から「これまでと違うポジションで使うかもしれないから」と言われていた通り、右のタッチライン際で背番号と同じ「22」分間をプレーした。そこで安定した攻守を見せた藤原は次の福岡戦で同じ右SBとして先発フル出場。序盤で相手選手の股間を抜くドリブルでビッグチャンスをつくると後半にはボランチの気配を漂わせるように、中央にポジションを移して椿直起へ絶妙のスルーパスを通して決定機を演出した。

小林監督も「福岡戦で二つの決定機をつくった。攻撃だけではなく球際のコンタクトに強く、またカウンターに遭ったときに戻れるスプリント能力も見せた。上等!」と、慣れないポジションでのプレーに太鼓判を押した。いきなりのコンバートにも混乱することなく攻守で素晴らしいパフォーマンスを披露したことに驚く記者に藤原はこう言った。

「大学(阪南大)2年の時にサイドバックでプレーしています。トップチームに上がったのもそこでのプレーを評価されたから。ボランチとしてプレーし始めたのは3年生になってからです。だから、今回も戸惑うことはなかった。僕がサイドバックの経験者だってことを知らなかった? ちゃんと調べて来てくださいよ」と、意地悪く笑う藤原の表情からは自信のようなものが見て取れた。そして、今後はボランチと右サイドバックのどちらでプレーしたいかとの質問に対する「正直、試合に出られるならどちらでもいいです」との答えにも自信を感じた。

藤原が右サイドバックで好プレーを見せたという事実で、今後の対戦相手がどう動くか。福森健太や野口航、いまは負傷欠場中の永田拓也など、ここまでSBとしてプレーしてきた選手とは異なる特徴を持つ藤原がSBとしてプレーすることによって攻守でさまざまな違いと変化が生まれた。そういう変化に対応しようとする相手には必ずスキが生まれる。そこを突くことで勝点の積み重ねも期待できる。リーグ後半戦に再び北九州が勢いを取り戻せるかどうかのカギとなるのは新たな挑戦と新たな変化を取り入れることで生まれる、予測が追い付かない多様性だろうと読むが、それが現実のものになるかどうかの判別において、右SB藤原の働きは一つの“リトマス試験紙”となりそうだ。


文:島田徹(北九州担当)


明治安田生命J2リーグ 第25節
10月10日(土)14:00KO ミクスタ
ギラヴァンツ北九州 vs ザスパクサツ群馬
ミクニワールドスタジアム北九州(ギラヴァンツ北九州)
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